Choosing a CDMO Who is a True Bioproduction Expert

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バイオ医薬品製造サービスを提供するCDMOの数が増える中、適切なCDMOを選択することはスタートアップ企業にとって簡単ではないかもしれません。提携先の決定は難しい仕事ですが、上市最速化からリスク低減、新薬候補の特性に応じた細やかな配慮まで、バイオ医薬品製造のあらゆる側面をシームレスに管理できるパートナーを選ぶことが極めて重要です。

高い作業効率と能力を備えたバイオ医薬品製造パートナーの土台となるのは、真のバイオ医薬品製造エキスパートであることです。良いCDMOは、細胞株の大規模製造に対応できる確かな専門知識と能力により、以下の条件を満たさなければなりません。

  • 高力価の確保

    高力価を確保できないと、製造コストが増大し、製品の供給と価格に影響を与える可能性があります。良いCDMOは、高力価を確保できるだけでなく、開発・臨床ライフサイクルのさまざまな段階における需要の変化に対応できる柔軟な生産能力を備えています。

  • 開発期間の短縮

    あらゆるバイオ医薬品企業の成功に不可欠の要素は、患者さんの命を救う新薬候補を速やかに上市することです。開発において無駄にできる時間はありません。現在提携しているCDMO、あるいは提携先候補のCDMOがスケジュール通りの上市を確保できない場合には、他のCDMOとの提携を検討すべきでしょう。幸いにも良いCDMOは数多くあります。

  • 規制要件を満たすことができる十分なデータを備えた宿主細胞株の提供

    最終製造用セルバンクに関しては、膨大な数の規制ガイダンスが発出されています。良いCDMOは、これらのガイドラインのほか、リスクを抑えつつ開発を進めるための手順を十分に理解しています。

  • ライセンス料を事前に規定し、低価格で提供する

    待ちに待った臨床・上市マイルストーンの達成は、患者さんの命を救う新薬開発に全力を注ぐべきときです。長いロイヤルティ交渉の始まりであってはなりません。良いCDMOは、freedom-to-operate(自由に事業を行うことができる権利)と諸条件が事前に明確に定められた細胞株を提供します。

CDMOがバイオ医薬品製造エキスパートとみなされるには、上記の前提条件を満たさなければなりませんが、さらに、ハイスループットの細胞株開発、培地の最適化、細胞培養工程の開発、プロセスのスケールアップからハーベスト・採取、精製、バルク保管、最終充填までバイオ医薬品製造プロセス全体を管理できる能力も求められます。バイオ医薬品製造プロセス全体を管理するためのノウハウを獲得するには、革新的な技術を駆使した細胞株開発の最適化、ベスト・イン・クラスのワークフローによるパフォーマンスの継続的改善、世界各地のバイオプロセスのエキスパート・科学者からなる幅広い人材が必要です。また、人材・事業の継続戦略を構築し、予期せぬ事態によるサプライチェーン混乱時にも、患者さんのより良い人生に貢献するバイオ医薬品を安定的に製造できる力を備えていることも良いCDMOの条件です。

革新的な技術を駆使した細胞株開発の最適化

バイオ医薬品のスタートアップ企業は、継続的に革新的技術を導入しているCDMOと提携することが大切です。技術的資源を継続的に拡充していないCDMOは、新薬候補の開発をサポートすることが難しいだけでなく、将来的に商用生産の維持にも苦労するでしょう。CDMOにおいて、バイオ医薬品に関する専門知識は成功に欠かせない要素ですが、さまざまな革新的技術を導入できる能力も非常に重要です。バイオ医薬品製造では、製造用細胞株の選択は、適切な革新的技術の使用により大きく左右されます。

では、細胞株開発の最適化・最速化を実現できる「適切な」革新的技術とは具体的にどのようなものでしょうか?

例えば、 Berkeley Lights社のBeacon® Optofluidic System は、マイクロ流体とOpti Electro Positioning(OEP)技術を用いたシステムです。光を用いて細胞をナノペンと呼ばれるマイクロ流体チャンバー内外に移動させることにより、数千個の細胞を処理・分析し、従来の手法よりもはるかに迅速に多くの知見を獲得することが可能です。これは、小型化により従来法が最新化された典型的な例と言えるでしょう。ロジスティクスの面から見ると、Beacon®はチップ上でシングルセルクローニングを行うシステムであり、わずか1ナノリットルの培地が入ったナノペンに個々の細胞を移動させます。このプロセスは経時的な視覚化・モニタリングも可能であるため、成長やタンパク質産生量をナノリットル単位で推定することができます。

各Beacon®システムには4つのマイクロ流体チップが備わっており、各チップには1,750個のナノペンを搭載することができます。したがって、一度に7,000個のナノペンを処理・分析することが可能です。一度に7,000個のクローンを評価できることにより、より速やかに細胞株を開発できるとともに、不均一な細胞集団の中で最も産生能の高い細胞を特定するスクリーニング力が得られます。Beacon®を用いることにより、限界希釈クローニングなどの従来法と比較して、細胞株開発におけるシングルセルクローニングに要する期間を週単位から日単位に短縮することが可能です。

現在提携しているCDMO、あるいは提携先候補のCDMOの評価にあたっては、必ず細胞株開発の技術力を確認しましょう。Berkeley Lights社Beacon® Optofluidicシステムなどの最先端技術に投資しているでしょうか?それとも、処理量の低い従来法をまだ使っているのでしょうか?やはり、革新的技術に投資して技術力を拡充し、細胞株開発の合理化・最速化を実現できるCDMOと提携することが重要です。

より深い培地分析

革新的な培地分析技術を用いることにより、培地の最適化に必要な知見を獲得し、細胞株開発を速やかに開始することができます。標的クローンの栄養必要量の理解は、力価の向上と目的物質の不必要な品質変動の低減につながります。より深い培地分析に注力しているCDMOが実現できることは次の2つです。

的確な目的物質の特性解析による、細胞株開発・プロセス開発を通した一貫性の確保。

培地性能を左右する重要な要素の特定による、培地処方やプロセスに関する課題解決。

真のバイオ医薬品製造エキスパートは、技術と培地分析の適切なバランスを取りながら細胞株開発・プロセス開発を進めますが、技術と分析のみでは必ずしも優れた細胞株を得られるわけではありません。タンパク質の品質が制限要因となりうるため、良い技術と分析だけでは開発全体の成功にはつながらないことがあるからです。ですが、ベスト・イン・クラスのタンパク質特性解析ワークフローがあれば、これらをすべて解決することが可能です。

ベスト・イン・クラスのワークフローによる品質の最適化

最適なワークフローとは、より深い培地分析を可能とする技術を用い、高い流動性、信頼性、有効性を実現できるワークフローです。ベスト・イン・クラスのワークフローを整備していないCDMOは、品質の高い製品を製造することが難しいだけでなく、品質の高い製品を速やかにかつ低価格で上市させることにも苦労するでしょう。

実証済みの製品品質評価・分析ワークフローの最先端にあるのが、複数の特性を同時に分析するMulti Attribute Methodology(MAM)ワークフローです。MAMワークフローでは、低アーチファクトのペプチドマッピングを用い、アミノ酸レベルでの修飾をより的確に定量することが可能です。MAMにより、複数のアッセイを1回のアッセイで行うことが可能となり、コストと時間を削減できるとともに、複数アッセイよりも中身の濃いデータを取得することが可能です。

バイオ医薬品の開発・製造の究極の目標は、より低いコストでより速やかに最高品質の製品を提供することです。分解能の低い従来法でバイオ医薬品製造に取り組んでいるCDMOでは、製品の重要品質特性(CQA)の特定と定量が困難でしょう。MAMワークフローを用いることにより、複数のCQAを同時に、より的確に特定し、定量し、モニタリングする能力が得られます。その結果、従来法に比べ、コストと時間を削減でき、操作ステップや使用機器も減らすことが可能です。

優れたCDMOでは、世界各地のMAMエキスパートが連携し、ワークフローの最大限の最適化を確保しています。CDMOの作業の進め方によってコストは大きく左右されます。バイオ医薬品のスタートアップ企業各社においては、高価な新規バイオ医薬品原薬の無駄な使い方はできないでしょう。また、性能と品質のバランスが取れていなければ、有効性と供給に影響が出るリスクが生じます。これは最も重要な点です。CDMOが製造の継続性と臨床的成功を確保できる適切なワークフローを整備していなければ、患者さんのより良い人生に貢献する治療薬、命を救う治療薬を提供できないことになりかねません。

提携先候補のCDMOや現在提携しているCDMOの評価にあたっては、作業の進め方について、すなわち、どのようなワークフローを用いているのかについて確認しましょう。MAMのような最新のワークフローを用いていない場合には、最新のワークフローを用いている別のCDMOをパートナーとすることを検討すべきかもしれません。

世界各地のバイオプロセスのエキスパートからなる豊富な人材を備えたCDMOパートナーの選択

良いCDMOの根幹にあるのは「人」です。革新的技術と最新ワークフローの2つは、バイオ医薬品製造の成功に不可欠の要素ですが、新薬候補の円滑な開発・上市を実現するには、実際の業務に携わる「人」がこれらの要素をクリエイティブかつ的確に駆使できる能力を備えていなければなりません。技術とワークフローは速やかな開発推進に役立ちますが、結局のところ、それを実現するのは「人」です。

世界各地のバイオプロセスのエキスパートからなる豊富な人材を備えたCDMOでは、クローン選択やプロセス開発といったバイオ医薬品製造の初期段階で極めて重要な事項についてより良い判断を下すことが可能です。では、バイオプロセスのエキスパートはこれをどのように実現しているのでしょうか?

社内の複数チームによる共同作業:社内の連携により、ギャップを特定し、革新的技術をより的確に適用し、使用することが可能となります。

顧客価値の推進:バイオ医薬品製造プロセス全体にわたって、CDMOは、将来を考慮した、意義と価値のある サービスをお客様に提供することにより顧客価値を高めなければなりません。

データ管理の変革:良いCDMOでは、「人」がデータを使って判断を下すことにより、プロセス開発スピードとバイオプロセスの成果の向上をシームレスに実現します。

シングルユース技術(SUT)の改善:SUTを用いることにより、物質の交叉汚染を確実に防ぐことができます。良いCDMOは、お客様に貢献するため、SUT成功率と製造の柔軟性を継続的に改善しています。

これらは、バイオ医薬品製造に関する真の専門知識と経験を備えた「人」なしには実現できません。提携先候補のCDMOや現在提携しているCDMOの評価にあたっては、できる限り多くのバイオプロセスエキスパートを紹介してもらうようにしましょう。実際の業務に携わっているスタッフと話をし、どのような経験を持っているのか、自身をエキスパートとみなすことができると考える理由は何かを尋ねてみることが大切です。販売担当者やカスタマーサクセスマネージャーとの連絡のみがCDMOとのコミュニケーションであってはなりません。良いCDMOは、積極的にお客様とバイオプロセスエキスパートとのコミュニケーションを促します。

事業継続性とサプライチェーン

良いCDMOは、信頼性の高い緊急時対応計画と事業継続手順を整備し、COVID-19のような前例のない事態によりバイオ医薬品製造サプライチェーンに混乱が生じたとしても安定的な製造を確保します。現在提携しているCDMOや提携先候補のCDMOには次の点を確認しましょう。

サプライチェーンで起こりうるリスクを積極的に特定しているか?悪影響を及ぼす事態を防ぐため、CDMOは起こりうるリスクの特定に真摯かつ継続的に取り組まねばなりません。

サプライチェーンで起こりうるリスクを積極的に評価しているか?CDMOは、特定したリスクについて、サプライチェーンにおける重大性に基づいて分類し、リスクに対処するためにはどのような措置が必要か判断する能力も求められます。

リスクに対処する仕組みを積極的に構築しているか?例えば、原料調達先のベンダーが、社内のCOVID-19集団発生により営業を停止せざるを得なくなった場合に、CDMOは製造を継続できるよう、予備の原料調達先も確保しているでしょうか?

真のバイオ医薬品製造エキスパートは、お客様と共同でプロジェクトに取り組むパートナーです。

言うまでもなく、バイオ医薬品の早期上市を目指す開発競争は極めて厳しく、費用と時間のかかる複雑な道のりです。さらに、新薬候補の開発成功に必要な細やかな配慮ができるCDMOと提携することも大切です。CDMOはお客様を単なる顧客としてではなく、共同でプロジェクトに取り組むパートナーとしてみなさなければなりません。共同パートナーシップで目指すものが明確にされた後、良いCDMOは、その確かな実績、革新的技術、さまざまなサービス・ソリューションの内容、そして世界各地の科学エキスパートからなる幅広い人材を紹介するでしょう。そのようなCDMOと提携したときに初めて、早期上市を実現できる体制が整ったと言えるでしょう。

パセオンは、お客様と共同でプロジェクトに取り組むパートナーとして、Right-The-First-Time(最初から適切な製品設計)のサービスにより、新薬候補を私たち自身の宝物のように大切に育てます。真のバイオ医薬品製造エキスパートであるための取り組みをご紹介します。