360°で統合されたCDMO/CROアプローチで、創薬開発を加速する

July 15, 2025 (12 minute read)

製薬企業がR&D投資の収益性低下や開発期間の長期化に直面する中、効率化への取り組みはもはや戦略的な必須要件となっています。Deloitte社の最新レポート¹によれば、新薬を上市するまでの平均コストは 23億ドル に達し、開発サイクルは平均 7年以上 に及んでいます。こうした財務的負担と長期化する開発期間は、複雑化した医薬品開発プロセスの抜本的な効率化の必要性を明確に示しています。

このような状況において、医薬品開発の各機能を統合するアプローチの価値は極めて大きく、特に新規参入企業や、特定モダリティの臨床開発を進めるスモール〜アーリーステージのバイオテック/バイオファーマにとって重要性が高まっています。

その実例として、Thermo Fisher Scientific が提供する Accelerator™ Drug Development を採用した企業があります。Drug Substance(原薬)、Drug Product(製剤)、治験製造、サプライチェーンマネジメントといった複数工程を一つの統合サービスにまとめることで、タイムラインの分断をなくし、規制上の課題を早期に特定・リスク低減し、研究室段階から市場投入までのプロセスを加速します。

本プログラムは、全ての臨床フェーズに適用可能であり、商業生産段階にも拡張可能です。Thermo Fisher Scientific によるDSおよびDP製造を含むAccelerator™ Drug Developmentでは、グローバルネットワーク全体を統括する 専任プログラムマネージャー がアクティビティを調整し、効率的かつ安全性の高いサプライチェーンを実現します。プログラムマネージャーは、クライアントの代弁者、チームの統合者、リスク管理者として、開発のあらゆるプロセスを支援します。

単一のマスターサービスアグリーメント(MSA)のもとでプロセスを統合し、品質システムを標準化することにより、従来の「分断された委託モデル」が抱える複雑性やリスクを大幅に低減できます。

経験豊富なパートナーと連携し、統合型アプローチを採用することで、製薬企業はイノベーション創出により多くのリソースを集中でき、運営上の煩雑さを低減し、患者への医薬品提供をより迅速かつ確実に実現できます。

Accelerator™ Drug Development が医薬品開発をどのように強化するのか

サービスの統合.:これは、医薬品開発プロセスに必要なすべての工程――原薬・製剤製造、各種ラボ試験、臨床研究、治験薬供給・物流までを一貫して包括するもので、複数の外部ベンダーを利用する必要性を最小化し、プロセスの非効率を大幅に削減します。

プロセス効率化: 中央集約型のマネジメントにより、医薬品開発の各フェーズが密接に連携し、工程間のコミュニケーションおよび調整が大幅に向上します

リスク低減: 開発プログラム全体を俯瞰できる包括的な管理体制により、潜在的な課題を早期に検知し、迅速に解決できます。その結果、プロジェクトのタイムラインと予算の維持が可能になります。

専門知識・経験値:  深い業界知識と豊富な経験を有するチームが、医薬品開発に内在する複雑性へ適切に対応します。これにより、開発上の障壁を乗り越え、予期せぬ遅延を最小化し、重要なマイルストーンを確実に達成することが可能となり、開発プロジェクトの着実な推進と成功を支えます

成功への道筋

Accelerator™ Drug Development の有効性は、複雑なロジスティクスやサプライチェーン上の課題を確実に乗り越えた複数のケーススタディによって示されています。

あるケースでは、クライアントがグローバル規模の治験薬供給管理を必要としており、複数治験施設での予定外の過剰登録により供給不足が懸念される状況にありました。包括的なサービス統合と中央集約型マネジメントにより、包装仕様の戦略的な見直しと新たなAPI供給源の活用が可能となり、治験スケジュールに遅延を生じさせることなく問題を解決しました。さらに、グローバルの専門チームが医薬品開発と臨床サービスを単一ベンダーとして統合的に提供する、エンドツーエンドかつカスタマイズ可能なソリューションにより、規制要件もすべて満たしながら治験の進行に影響を与えることなく対応しました。こうした堅牢なフレームワークと積極的なリスクマネジメントが、試験中に発生した課題へのシームレスな適応を支えました。

別のケースでは、COVID-19 治療薬の迅速な開発支援が求められました。統合されたサービス提供とプロジェクトマネジメント機能により、原薬製造のスケールアップと、それに続く 12 か月間で 2 億カプセル超 の製造を可能にしました。この迅速な対応は、世界的な緊急需要に応えるとともに、新たに設定される規制承認要件にも確実に準拠したものでした。開発期間が極めて重要となる状況において、迅速なスケールアップ能力と包括的な規制対応がタイムライン短縮の鍵となりました。

これらの事例は、本プログラムが複雑なプロセスを効率化し、オペレーション全体の生産性を向上させる能力を持つこと、そしてグローバルな開発環境下で医薬品の上市までの期間を短縮した実績があることを明確に示しています

今後の展望

製薬業界が直面する喫緊の課題を踏まえると、統合的かつ効率化された開発アプローチへの転換は、ますます重要性を増しています。Accelerator™ Drug Development が示す成果は、統合型モデルが業界の差し迫ったニーズに応えるだけでなく、効率性と実効性の両面で将来に向けた新たな標準となり得ることを物語っています。

多様な機能と能力を単一の戦略のもとに束ねることで、新しい治療法を迅速かつ確実に市場へ届けたい企業にとって、複雑性を乗り越える有望な道筋が開けます。CDMOサービスに加え、包括的なCROサービスを統合することにより、分析試験や臨床研究支援まで一気通貫で提供でき、医薬品開発全体の効率性と連携性はさらに高まります。この統合モデルは、現在直面する課題への対処だけでなく、革新的な治療法をこれまで以上に迅速に患者へ届ける未来を指し示しています。

¹ Deloitte. Measuring the Return from Pharmaceutical Innovation: Unleash AI’s Potential. Deloitte LLP, 2024.

Thermo Fisher Scientific の Accelerator™ Drug Development が、貴社の医薬品開発にどのような価値をもたらすか、ぜひご確認ください。

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