臨床試験の成功を加速する最新パッケージング&ラベリング戦略を専門家が解説

March 27, 2025 (15 minute read)

臨床試験で進化するパッケージングとラベリングのニーズ

バイオテックの世界は日々進化し、スピード感と複雑性を増しています。その中で新しい治療法の開発に欠かせないのが臨床試験ですが、とりわけ包装とラベリングは試験の効率性や遵守性に直結する重要な要素です。従来、この領域はプロセスの煩雑さや規制要件への対応の難しさから、治験担当者にとって大きな課題となってきました。

サーモフィッシャーサイエンティフィックは、こうした課題を解決するために革新的な包装・ラベリングソリューションを導入し、効率性の向上、コンプライアンス遵守、そして試験成功率の向上に貢献しています。

今回、サーモフィッシャーの治験ソリューション のグローバルオペレーション担当副社長 Rodman Stull 氏、およびグローバル治験のラベリングに関して、ゼネラルマネージャー Bob Scarth 氏にお話を伺いました。Stull 氏は製造・包装・流通分野で約40年の経験を持ち、Scarth 氏は18年以上にわたり臨床試験用ラベルサービスをリードしてきたエキスパートです。両氏の知見を通じて、サーモフィッシャーの包装・ラベリング革新がどのように臨床試験を変革し、特にバイオテック企業にとっての価値を高めているのかを掘り下げていきます。

Q: バイオテック企業が直面する臨床試験用包装・ラベリングに関する一般的な課題とは?

Stull 氏:
バイオテック企業にとって大きな課題の一つは、治験の各フェーズに求められる俊敏性(agility)です。初期フェーズではスピードと柔軟性が必要ですが、後期フェーズでは一貫性とスケールが重視されます。しかし、多くのバイオテック企業には安定したサプライチェーンを支えるインフラが整っておらず、コンプライアンス・品質・スピードを統合したシステムを持つことが遅延回避の鍵となります。

さらに大きなハードルは規制要件の対応です。特にグローバル市場に参入する際には、国ごとのラベル要件や必要言語、翻訳サービスへのアクセスなど、細かい規制を把握していないケースが多く、その経験不足が高額な遅延につながりかねません。

Scarth 氏:
もう一つ重要な点は、「安さ=価値」ではないということです。一見コストが抑えられるように見える選択肢でも、経験不足やミスにより結果的に高額な遅延を招くことがあります。経験豊富なパートナー、例えばサーモフィッシャーと組むことで、複雑な課題を効率的に乗り越え、治験を計画通り進めることが可能になります。

Q: サーモフィッシャーの包装・ラベリングソリューションが他社と異なる点は?

Stull 氏:
大きな差別化要因のひとつは、自社内でラベル印刷まで完結できる点です。多くの企業では包装とラベリングを別々のベンダーに依頼する必要がありますが、サーモフィッシャーではエンドツーエンドのソリューションを提供しています。複数ベンダーを調整する手間とリソースは膨大ですが、当社の体制ならその負担をなくし、治験準備までの時間を大幅に短縮できます。試験開始から完了まで、シームレスなプロセスを実現できるのです。

Scarth 氏:
さらに、当社独自の ATLAS<sup>SM</sup>(Alternative Translation and Label Approval System) という検証済みのラベル翻訳システムがあります。これは多言語ラベリングを自動化・最適化する仕組みで、翻訳にかかる時間を最大70%以上削減してきました。グローバル治験ではスピードが極めて重要となるため、ATLAS は時間短縮と効率化に大きく貢献しています。

Q: 治験薬の完全性(product integrity)を確保するために、包装ソリューションにはどのような特徴がありますか?

Scarth 氏:
当社の先進的な包装ソリューションには、改ざん防止機能(tamper-evident)コールドチェーン対応包装が含まれます。これにより、超低温といった過酷な条件下でも製品の完全性を維持することができ、生物製剤やワクチンにとって特に重要です。

また、モジュール型の包装ソリューションも提供しており、プロトコールの変更に素早く対応可能です。この柔軟性によって無駄を最小限に抑え、治験の中断を防止します。結果として、プロトコールに変更が生じても試験を円滑に継続できる体制を整えています。

Q: 小規模バイオテック企業がサーモフィッシャーとのパートナーシップで得られるメリットは何ですか?

Stull氏:
小規模バイオテック企業は、複雑な臨床試験を管理するためのリソースや専門知識が不足していることが多くあります。私たちと提携することで、当社の豊富な経験と統合サービスを活用できるようになります。これにより、ラベリングやパッケージングに関して複数のベンダーを調整する必要がなくなり、大きな負担を軽減できます。

さらに、治験規模の拡大や新しい市場への進出の際にも、各国ごとに異なるラベル表示や言語対応を心配する必要はありません。私たちがそのすべてを代わりに対応します。

Scarth氏:
また、当社はコンサルティブなプロジェクトマネジメントサービスも提供しています。企業ごとのニーズに合わせたガイダンスを行い、複雑な規制上の課題を乗り越える支援や、リスクを軽減するためのソリューションを提案し、臨床試験が計画通りに進行できるようサポートします。

Q: Thermo Fisherのソリューションが実際の臨床試験で成果を上げた事例を教えてください?

Stull氏:
もちろんです。ある日本のバイオテック企業のお客様が、別のサービスプロバイダーによるパッケージングや翻訳、ラベリング対応の不備により、大幅な遅延に直面していました。そこで私たちが介入し、この臨床試験を立て直しました。

当社の ATLAS翻訳システム により、翻訳およびラベリングのプロセスを大幅にスピードアップし、ラベル承認サイクルを75%短縮することができました。その結果、試験はそれ以上の遅延なく進められ、私たちが迅速に適応し、効果的なソリューションを提供して臨床試験を救済できることを実証しました。

Scarth氏:
もちろん、本来は「救済」が必要な状況に至る前に対策するのが理想です。そのため、ぜひ早い段階から私たちとパートナーシップを結んでいただき、そうしたリスクを未然に防いでいただきたいと考えています。

結論:サーモフィッシャーが選ばれる理由

バイオテック企業にとって、臨床試験における適切なパートナーの選定は極めて重要です。求められるのは、スピード、リスク低減、柔軟性、そしてコスト効率の高いソリューションを提供できる信頼性のあるパートナーです。

サーモフィッシャーは、パッケージングおよびラベリングに関する包括的なソリューション群に加え、深い専門知識とコンサルティブなアプローチを兼ね備えており、単なるサービスプロバイダーではなく戦略的パートナーとして位置づけられます。

私たちは、バイオテック企業が臨床試験の複雑性を自信をもって乗り越えられるよう支援します。その結果、試験の効率化、リスクの低減、市場投入までのスピード加速を実現し、最終的には命を救う治療法をより早く患者さんへ届けることが可能になります。

バイオテック企業の臨床試験を、革新的なパッケージングおよびラベリングソリューションでサポートするサーモフィッシャーのサービスについて、詳しくは 当社の臨床試験サービスページ をご覧ください。