過去20年間のバイオ医薬品業界の成長を推進した大きな要因の1つが、今やバイオ医薬品市場全体の50%以上を占めているモノクローナル抗体(mAb)の継続的なイノベーションです。この治療モダリティーの成功の重要な牽引役となったのが、プロセス開発・製造におけるテンプレート化されたプロセス・分析プラットフォームであり、開発期間の短縮と円滑かつ頑健なスケールアップに寄与してきました。mAbが広く普及したことにより、業界全体で十分な知識が蓄積され、バイオ医薬品のライフサイクルマネジメントにおける重要なリスク低減活動に役立てられています。バイオ医薬品の上市に不可欠なプロセス特性解析・バリデーションもその1つであり、プロセス管理戦略の構築・実行によりリスクを最小限に抑え、品質を適切に管理する重要なステップです。
しかし、近年、業界で進んでいる次世代治療へのパラダイムシフトの結果、製造工程はますます複雑化し、もはや自動ですべてが設定される「プラグ・アンド・プレイ」式の工程ではありません3,4,5。このような新しい非mAB分子については十分な経験が蓄積されていないため、非mAB分子特有のリスクに注目が集まっています適切な品質特性と安全性プロファイルを備えた化合物を開発するには、プロセスの設計方法についてより包括的に理解しなければなりません。このためには、候補分子の構造上の弱点、重要な製品品質特性およびプロセスリスクを慎重かつ適切に評価することが不可欠です。これらのリスクの評価および理解が不十分であると、上市成功を導く適切な後期開発戦略を構築できないかもしれません。